世界ふしぎ発見のMAについて、その5
世界ふしぎ発見のMAについて、その5
「世界ふしぎ発見のMAについて、その5」で立ち上げ(MA用のワーク作成)の際、映像を最初から流れで見ることの重要性を話しましたが、
その昔、テープロックシステム(シンクロナイザーを使って、映像と音声を同期させて行うMAシステム)でMA作業していた時は、オペレーションも効率よくしないと、膨大に作業時間がかかってしまいます。
(すみません、今回も昔話から入ります)
現在は、映像も音声もデジタルで、ランダムに瞬時に作業をする場所を呼び出すことが可能です。
今では、想像しにくいかもしれませんが、任意の場所をだすために、長物の作品だと数分の時間がかかる場合もあります。ナレーション録りの時のプリロール時間でさえ細かく考えて作業しなくては、積み重ねで、無駄な時間が多くなってしまう印象になってしまいます。アシスタントは、そういう細かなオペレーションをすることもテクニックの一つでした。
さて、世界ふしぎ発見の場合、
立ち上げ作業が終わりますと、音効さんが来て音楽を入れる時間になります。
昔は、音効さんがその場面場面に用意した音楽を、MA用のマルチテープ(場合によってはDAW)に、1曲1曲録音していました。
1曲ずつなので、当然時間がかかります。
しかし、ミキサーとしては1曲ずつ細かくチェックする事ができるので、ナレーションが入った時のイメージ、最終的にその曲はどういう役割を果たすことになるのか、の判断もこの段階で持つ事ができるので、全然無駄ではありません。どちらかというと、大切な時間でした。
(作業中は、無駄な時間というのはないですね。
待ち時間でさえ、アシスタントさんとの、または制作さん、ナレーターさんとの貴重なコミュニケーションの時間だったりします。
長すぎると、流石に話す内容がなくなりますが、、、)
午前中は、ほぼ音効さんの作業時間になります。
そして昼休憩を挟んで、ナレーション録りです。
その後のスケジュールの流れは、
午後一に、ナレーターさんが入り、その後、ミステリーハンターさん、そして、ボイスオーバーの方たち(ない場合もありますし、複数名いらっしゃる場合も)
入り時間も結構タイトに組まれています。
原稿もふしぎ発見はほぼ完璧に仕上がっているので、現場での直しもあまりなく、どんどん収録していきます。
次から次へ、入れかわり立ち替わり収録するのですが、メインのナレーターさん含め、ボイスオーバーにいらっしゃる方たちも大御所ばかり!
ボイスオーバーで来てくださる方たちは、他でメインのナレーションをされている方とか、主役クラスの吹き替えをする方達ばかりです。
昔から好きだった声優さんやテレビでみていた俳優さんなどが、それこそ入れ替わり立ち替わり毎回、来てくれます。
世界ふしぎ発見自体、好きで毎週見ていたのでそれこそ、テレビの中の、好きな人たち(声)だらけの中で作業しています。
そんな方達がより一層気持ちよく声を吹き込んでいただくために、こちらが気をつけている事があります。これはふしぎ発見だからというわけではないですが、
いらっしゃるナレーターさんの好みの椅子の高さ、マイクの位置、返しの種類(ヘッドホンなど)を事前に用意しておく事です。マイクの位置は、特に気を使います。
座った瞬間、マイク位置が正確に決まっていると、声を出す方もすっとその場に入っていけるような気がするのです。
(個人の感想です。度々でる!)
そして、マイク位置を事前に調整していても、ナレーターさんの前で必ず、私はマイクを触ります。
(この位置で、録ることに私は決めました!という意思表示を示すために。適当に決めていると思われないように)
また、ナレーション録りの私のルーティーンとして、ナレーションブースの中で話しかけます。
挨拶でもいいですし、相手の声をブース内で聞きます。
ブースの中で、その方の声がどう響くのかを確認したいからです。(本当は、マイクの位置で聞きたいのですが、それをやると変態に思われますからね)
テストをさせてもらってスピーカーから、もし「その声」が聞こえないとマイク位置の再調整になります。
最悪、マイクの変更になる場合もありますが、前回話したように、マイクを替えるとなると、セッティングに時間がかかってしまします。
ファンタム電源を入れてすぐは、音も安定しないですし、
せっかくスムースに収録できるよう、事前に椅子の高さなどを調整したことなど無駄になってしまいます。
私は、いい音を収録する一番の要素は、いいパフォーマンスを発揮できるよう、いいマインドで収録に臨んでもらう事だと思うので、、、気持ちよく出した声は、それだけでいい声!あとは、そのまま録音するだけ!簡単!
そのため、機材トラブルでないのであれば、再調整は1・2回に留めます。
(その見極めが難しいですね。そのため、信頼できる機材を用意する、ということですね)
そして、ミックスの時にも「その声」から変わらないよう調整します。
元々すばらしい声の持ち主ばかりですから、ナレーションなどの声の処理は、必要最小限のことしかしません。
(少し専門的なことを書くと、EQなどで3dB以上の増減はしません、したい場合は、他の手段を考えます。録り音さえしっかりできていれば、過度な変化は音を破綻させてしまうだけなので)
そういうマイクの位置の気遣いとナレーターさんのマインドに気付かされたのは、
大ベテランの小林清志さん(私の大好きな次元大介)のナレーションへの姿勢からでした。
清志さんは、マイクの位置を大袈裟ではなくミリ単位で調整します。
マイクも指定されます「ノイマン U-87Ai」じゃないとダメです。
マイクを垂直にたて、口元から8cmくらい前に、位置にします。
完全に、ボコボコ吹かれるイメージですが、ポップガードは絶対にしません。
「俺は吹かないから!」
って、 カッコいい!
そして、収録した自分を声を必ずスピーカーでチェックします。
それを確認して「オーケー!」がでると収録が始まります。
だから清志さんが来る時は、いつものセッティングにしておくのですが、清志さんは必ずマイクを自分で再調整します。
しかしある日から清志さんが座るや否や「オーケー!」といって収録が始まるようになりました。
(うれしかった、、、よかった、、、)
そんなこともあり、ナレーターの方たち一人一人の好みの準備を心がけるようにしています。
いまでは、アシスタントさんがメモまでとって準備してくれています。(感謝!!!!)
が、ミックスまでスムースに作業できるよう、ナレーション録りの前に、私はVTRの整音をとにかく済ませておきたいので、音効さんの時間が済むと、ナレーション録りまでの時間、ひたすら!急ピッチ!で整音を進めます。
その整音の話は、また別の機会に!
今回も、ブログを見ていただきありがとうございました。
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Mimm 森岡