MAの歴史
今回は、MAの歴史について書いていこうと思います。
はるか昔 (ここからは、スターウォーズのテーマを脳内再生してください)
といっても数十年前の話しですが、VTRに直接、複数の音声を収録する事を可能にした機械の名前がMA-VTR(Multi-Audio-Video-Tape-Recorder)だった事から、その名残りで、現在もMAと呼ばれるようになったようです。(複数の音声トラックといっても、4チャンネルくらいしかありませんでした)
今日ではVTRに複数の音声トラックが存在するなんて当たり前ですが、この画期的な機械は、実は日本独自のものであったため、外国では、映像の音の仕上げ(ミックスダウン)のことをMAとはいわないようです。
その後、音声の多チャンネル化に対応するため、
映像再生用VTRとオーディオ用の(複数のトラックに収録することの出来る)テープレコーダーをタイムコードでシンクロして作業するスタイルに変化します。
そのシステムを、
(大きな声で!)
タイムコードシンクロナイズドシステム!!!!! という
シンクロナイザー時代は、結構長く続きます。
シンクロナイザー時代初期、映像、音声どちらもアナログ記録方式で、テープの重量は相当なものでした。
2時間特番などの時は、約30分しか収録できない重いテープを掛け替える作業を頻繁に行わなければいけませんでした。
1980年代から徐々に、オーディオの方がデジタル記録のものに変わっていきます。
映像はアナログ記録の3/4UマチックのアナログVTR、オーディオはテープへのデジタル記録のPCM-3324マルチオーディオレコーダーをタイムコードで同期をとるシステムが主流になります。
その後、テレビ番組のステレオ化や映像コンテンツのサラウンド化などにより、さらなる多チャンネル化が進み、大きなミキサー卓(SSL、NEVE論争)、ラージスピーカー(ALTEC最強説、同軸再生機オーラトーン不可欠だ説)、広大で寒いコントロールルーム(作業時夏でもパーカー持参)、金魚鉢(地震の時の脱出手段として巨大なハンマーがある、とかないとか)と呼ばれるナレーションブースがMAスタジオの象徴になってきました。
そして、1990年代から徐々に、音声の記録方式がテープから、ディスクなどに記録する方式に変わっていきます。
SoundDesigner(現在のAVID ProTools)やアカイDD-1000、小室哲哉さんが所有したことで有名になったシンクラビアなどが登場し、徐々に実用的になってきました。
しかし、MAは常に納期に追われる作業で、安定性をかなり重視するため、それらをメインにつかうことは、まだありませんでした。
そういった面から、このシンクロナイザー時代はまだまだ続きますが、
信頼性の高いDAW専用機のフェアライトのMFX、DARやSSLのシナリアなどが登場してからは、一気にMA作業がDAWに移行していきます。
そして2000年以降、パソコン自体の性能が向上してきたこともあり、現在でも主流である低価格で導入しやすいPCベースのDAW、ProTools(現在AVID)やNUENDO(Steinberg)などがMAに最適化され、MAスタジオに採用され始めることになる。
しかし、まだまだPCベースのDAWは絶対的な信頼性や映像とのシンクロの問題などがあり、高価なDAW専用機を採用するスタジオと、2分される。
だが2010年頃からは、導入コストや信頼性の面からもPCベースのDAWで録音、編集する作業が主流になる。
その主軸は、AVID ProTools。
(DAW専用機を導入しているスタジオは保守の問題などもあり、現在はほぼなくなったと思われます)
現在、だれもが比較的低コストでMA作業をできる環境を手にすることができます。
(といっても、結構な出費が必要ですが)
MAミキサーにとって一番必要なこと、それは実は、今も昔も変わらず、好奇心なのではないかと思います。
「J-WAVEのDJみたいにして」とか「東京ドームのアリーナでコンサートを見ているみたい」にとかいわれても、その情景を体験(想像)できないとどう処理していいのか分からないと思います。
そのためには、何に対しても興味を持ち、音響に対してどうになっているのかを常に探求しつづける、好奇心が大事なのではないかと思います。
好奇心は、尽きることがありません。
自分の得意な狭い分野にのみ興味を持つのではなく、世の中にあるすべての音響という分野のオタクになりましょう!
(その提案あってるのか??)
ブログを見ていただきありがとうございました。
ほぼ自分の記憶とイメージで書いているので、間違っている部分があるかもしれません、すみません。
こうして改めて、振り返ってみるとここ30年くらいで一気に、作業環境が変わった様に思われます。
常に、勉強していかないとすぐに置いていかれそうです。
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