映画「裏ゾッキ」の裏
(世界ふしぎ発見のMAについて、番外編その3)
2回目の緊急事態宣言の延長に伴い「ゾッキの日」も延期。
「裏ゾッキ」の公開も延期になりました。
今まで、慌ただしく進めていた整音作業も、小休止です。
と、ここで、、、別の話を、
私は、しまじろうくんの仕事をさせていただいているのですが、その制作の方から、
「今度、しまじろうのアトラクションの制作をするのだが、そのお手伝いをして欲しい」と、話が来たのです。
「場所は、愛知県の蒲郡市というところにあるラグーナテンボス」
「裏ゾッキ」の依頼とほぼ同時期に!
「蒲郡」というワードをこんな短期間に2度も聞くことがあるのか!と、驚きました。
もう「蒲郡」(が・ま・ご・お・り)読めます!(まだ、書けませんけど、、、)
その「ラグーナテンボス」での「ゾッキの日」の開催!が、決定されると、「裏ゾッキ」もまた動き始めます。
松井玲奈さんのナレーション録り、そして、最終ミックスの日程も決定しました。
ナレーション録りに向けて、ほぼ完成された映像をいただき、整音再開です。
だが!
いままでとは、全く違う映像が届きました。
私の中では、約1ヶ月止まっていた「裏ゾッキ」
しかし、「裏ゾッキ」は、ずっーと動いていました。
新型コロナ蔓延という世の中で、様々な立場の人たちが、制限された中でも前に進もうとしているドキュメンタリー映画に変化していました。
この素晴らしいドキュメンタリー映画を観て、あらためて制作意欲が高まりました。
(あ!でも、どんなものでも常に101パーセント以上の情熱を注ぐことを、モットーとしてますので、、、)
変化していると言いましたが、もちろん以前からあるシーンもありますので、せっかく整音したものは、そのまま使おうと思いました。
しかし、新規のシーンと、今まであったシーンを整音していくと、以前セッティングしてもらった最終ミックスをするスタジオ(ダビングステージ)での試写での印象(反省)もあり、ほぼすべてやり直す事にしました。
「映画の音響ってこうだろうな」と思ってやった事が、全然そうではなく、他の部分が異常に気になるという、、、
(全然何言ってるかわかんないですよね)
なのでテレビの整音より、自分的にはゆるくレベル調整をし、レンジを意識する感じで進めていきました。
やはり、ダビングステージで一通り見せていただいたので、方向性がはっきりしたため、その後は整音の精度は高まり、スピードも上がりました。
ノイズを一つ一つ消したりしたシーンなどは、どうにか以前のデータが使えないものかと、模索したりもしましたが、、、。
まず、ナレーション録りまでに、全ての整音を終わらせておきたい一心で進めていきます。
そうしておけばまたその時、スタジオでのチェックができ、ミックス作業がよりスムーズにできるので、必死に間に合わせました。
間に合わせたのは、もちろん篠原監督(も)ですが、、、凄い!
そのナレーション録りは「ゾッキの日」から約1週間後!です。
そして、いよいよ迎えたナレーション録りの日。
私としては、昔からお世話になっているスタジオ(アオイスタジオ)ですが、今回は、いつも使っているMAスタジオではなく、ダビングステージでの収録です。
最初の打ち合わせ(事前試写)から、最終的なミックスまで、同じスタジオ、同じスタッフ(二宮さん、掛須さん)安心感、この上ないです。
(しまじろうくんの作業でもお世話になっています)
なので、仕上げに向かって常にアップデートしていく事ができます。(これは、経験値の無い自分のせいですが)
当たり前のように思われる方がいるかもしれませんが、こんなにスケジュールが変更になったのに、、これは本当にありがたい
(アオイスタジオ営業の小田倉さんと、プロデューサーの牧さんのおかげ!です)
あ ああー、っで、
ナレーション録りですが、自分としては、ダビングステージでのナレーションがどう聞こえるのか全然想像ができていません。でした。
ドキュメンターリーなので、普通の映画とは違い、ナレーションが多めです。
ナレーションが、物語を引っ張っていく事になります。(重要、、、)
いつも使っているマイク、いつも使わせてもらっているマイクアンプ、ミキサー卓、今まで通りのセッティング。
しかし、スピーカーから出てくる声が、どういうものなのか、、、すごく緊張しました。
松井玲奈さん自体のナレーションには、全く不安はありませんでした。
以前「世界ふしぎ発見(東京ディズニーリゾート篇)」で、ミステリーハンターとしてナレーション録りはさせていただいていたので、声のイメージはできていました。
(お、「世界ふしぎ発見のMAについて、その番外編」あながち間違いではなかった!)
そして、テストの時、第一声が聞こえた瞬間、
いつもの、理想の、、、何も問題ない!
で、一気に収録モードに入る事が出来ました。
その時、老舗の、幾多のあらゆる声を吸収してきたスタジオの奥深さを感じました。
収録は、実にスムーズに進んでいきました。
松井さんの、ナチュラルで優しいナレーションに、スタジオにいた全員は癒されながら、あっという間に終了。
「ゾッキ」と「裏ゾッキ」が一気に大きくつながりました。
あとは、最終ミックスを残すのみです。
細かな整音の再調整や、ナレーションの微調整をして、約1週間後の最終ミックスに望みます。
実は、最終ミックスは、「裏ゾッキ」が公開される1週間前に行われました!
1週間前!
このスピード感はテレビの世界でもあまりありません。
「裏ゾッキ」を見ていただいた方は、わかると思いますが、「4月25日」の映像が、5月14日公開の映画に入っているのです。
「情熱大陸」なみのスピード感!(伝わるかなーこの表現)
映画「裏ゾッキ」は、もちろんスピード感だけではない、映画「ゾッキ」のメイキング映像というだけでもない、
コロナ禍における日常の変化と苦悩、現在と未来のためにできることを探す人々の物語。
まだの方は、ぜひ
ここで少し音響的なことを少し、
映画「ゾッキ」でも、印象的なシーンのひとつ、伴くんが雨の中、実在しない牧田のお姉ちゃんのパンツを売ってくれというシーン。
「裏ゾッキ」にも、このシーンの撮影風景が入っていますが、
本番の部分は、九条さんではなく「ゾッキ」の伴くんに見えるよう、現場の雨の音を消してセリフをしっかり聞こえるように処理し、雨の音は別でつける事にしました。
九条さんの雨中での静かで鬼気迫る演技、斎藤工監督のこのシーンへの執念、それが過酷な環境で撮影されている。
本番中とカットがかかった後のメリハリがよりつけばいいと思い、そのような処理にしました。
といっても、本番中「裏ゾッキ」のカメラはかなり遠いところにいます。しかし何故か、小さな声もしっかり収録されていてあまり苦労せずこの状況を作ることができた。という、ふしぎ!
あと、難しかったというか、何度も見て、本当に何度も見て、考えて、どう処理しようか迷ったのが、
映画の中盤、水野さんが喫茶店で横田さんと話した後「ゾッキの日」に向けて想いを語っているところで、水野さんが海岸に座って海を見ているシーン。
このシーンの海の音を生かすのか、消した方がいいのか、かなり悩みました。
結局分からず篠原監督に「水野さんは、ここに座ってなにをおもい、なにを見ているのか?」と聞いてしまいました。
詳細はここに書きませんが、
結果、海の音があった方がいいと思い、波音を入れる事にしました。
と、自然に入ってるであろう音が、あった方がいいのか、ない方がいいのか、真剣に考えている変人もいる事がわかってもらえれば、今回、このブログを書いた甲斐があります。
また今回テレビではできない、映画ならではの表現方法を使う事が出来ます。
「無音の効果音」です。
(放送には規定がいくつかありますが、長時間の無音はダメというものがあり、放送事故扱いになる可能性があります)
そのため、街中の雑踏などもない方がいいと思ったところは、ちょっとくらい長いシーンでも潔く、消す、!
無音になると、今、が聞こえます。
映画の音が消えると、観ている時、の音が聞こえるます。
映画館で見ている人は、空調の音や、周りの人の気配など、
ドキドキしながら見ている人は、自分の鼓動が、
家で見ている人は、外の音が、(DVD買ってね!)
その時聞こえる音は、人それぞれ、毎回、違うと思います。
映画に映し出される過去、と現在、を、音で体験できると思います。
その「無音の効果音」を使う、より効果的なシーンはやはり、
「いま、映画は必要か」
そして、その後に続く山田監督、すごく胸打つシーンです。
一週間後の公開初日、アップリンク渋谷で観させていただき、技術的な面での答え合わせもする事が出来ました。
あらためて、経験の少ない私にこの機会を与えてくださってありがとうございました。
関係者、全ての方に感謝です!
このご時世なので、この映画に関わる方達とお話しする機会も少なかったですが、ありがとうございました、まだまだ、公開は続いていますが、ひとまずお疲れ様でした。
そして最後に、
DVD版は、少し全体のバランスを変えています。
大きく変わっているものもあります。音響的に!
その違いは、もちろん買わないとわからないですよね(笑)
すみません、今回少し長くなってしまいました。
最後まで見ていただき、ありがとうございます。
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Mimm 森岡